廃陸の旅団
術を解かれたマールの身体が大気の壁に押し潰される。

ﾄﾞｫｫｫｯという地鳴りのような音が止むと、そこにはﾋﾟｸﾘとも動けなくなってしまったマールの姿があった。

「さようならマールちゃん。」

リリーはローザスの元へ帰るべく振り返った。

その瞬間、背中を鈍器で殴られたかのような衝撃に襲われた。

「な、なぜ…」

背中の激痛に身悶えながらリリーは、上半身を持ち上げた。

そこには傷一つ付いていないマールがいた。

「私のﾃﾞｨﾊﾞｨﾝ･ﾌﾟﾛﾃｸｼｮﾝは確かにあなたの神域を模して創った。でも、決定的に違う点があるのよ。」

マールはﾃﾞｨﾊﾞｨﾝ･ﾌﾟﾛﾃｸｼｮﾝが解かれたと見せ掛けるため、リリーの動きにあわせ、周囲に張り巡らせていた孔気を一瞬にして身体の周りに極微量に纏い、床に倒れる振りをしていたのだった。

孔気量が少なくなった分、多少のﾀﾞﾒｰｼﾞは負ったもののほぼ無傷でリリーのｴｱｰｽﾞ･ﾌｫｰﾙをやりすごしたのだった。

そして、極微量に纏っていた孔気を普段の量へと戻す。

「まさか…その術は。」

リリーは神域とﾃﾞｨﾊﾞｨﾝ･ﾌﾟﾛﾃｸｼｮﾝとの違いに気付いた。

「そう。ﾃﾞｨﾊﾞｨﾝ･ﾌﾟﾛﾃｸｼｮﾝは波導ではない。私のｲﾝﾊﾟﾙｽを強制的に身体全体に広げたものよ。だから、波導のような弱点はない。」
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