廃陸の旅団
「でも、あの時確かに波導の穴が見えた。」

リリーの問いにマールはすぐに答える。

「あれは、そういうアクションを起こさせる為にディバィン・プロテクションの上に波導を纏わせただけのこと。さぁ、私の勝ちよ。」

マールはリリーを見下ろしながらそう言った。

すると顔を歪めながらリリーが言う。

「違うわ。相手を殺した方が勝ち。あなたはまだ私を殺せていない。そして私はまだ呪術を使いあなたを殺すことができ…」

パァァンと高い音が辺りに響く。

マールにたたかれた頬が熱く熱くなったのをリリーは感じた。

マールは哀しげな表情で問う。

「ねぇ、一つだけ教えて。あなたは本当のリリーなの?」

その問いにリリーが答える。

「私はリリーの死体にローザス様の一部を寄生させて生み出された者。身体も記憶も全てがリリー。しかし、私はあなたの言うリリーではない。それだけは確かよ。」

「そう…」

マールの纏う孔気が爆発的に上昇した。

「それでいいのよ。私を殺しなさい。」



そして。
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