廃陸の旅団
マールは自ら砕いたリリーの背中を治癒した。

「何をしているの!?私はあなたの言うリリーじゃない。殺しなさい。…それにあなたがもしこのまま私を治癒するというのなら私はまたあなたを殺しにかかるわ。」

それでも、マールは治癒を止めようとはしなかった。

「あなたがまた向かってきたら、またはっ倒して治癒する。それでもくるならまた同じ。私はリリーを殺せないし傷つけたくない。私はリリーが大好きだから。」

今では違う人格の宿るリリーの胸がズキッと痛んだ。

それまでの記憶があるため、そう感じたのかもしれない。

リリーは抵抗を止めマールの治療を受けた。



「よし、できた。動ける?」

治療を終えたマールがそう言うとリリーは静かに頷いた。

「ええ、動けるわ。『ターピュレンス』」

リリーの波動が部屋全体を巻き込み、暴風となり暴れだした。

それは天井や床や壁をも飲み込み破壊していった。
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