廃陸の旅団

地に伏したカムイを見下ろしながらソニアは言う。

「まさに完璧なタイミングだったよ。この短時間で影縫いのタイミングを掴むと称賛に値するよ。」

カムイはピクリとも動かない。

「しかし影縫いの真髄は俊足の歩法というだけでは成得ない。神眼と呼ばれる超反射によってタイミングをはかられた時でも次なる影縫いにつなげることがで、常に相手の背後をとることこそ影縫いの真髄なのだ。」

ソニアはカムイに向け剣を構える。

「随分と楽しませてもらったが、もう時間だ。次で最後にしよう。」

カムイはボロボロの身体を無理矢理に起き上がらせると剣を構える。

カムイが構えた瞬間。

ソニアが再びカムイの背後をとる。

今度はカムイは先程のタイミングになっても動きをみせなかった。

「疲労でタイミングを掴めなかったのか。それも仕方ない。」

僅かばかり残念そうな顔をしたソニアの最後の一撃がカムイに向け牙をむく。

「まずい、止めなければ!!」
ローザスが戦いを止めようと飛び出すが、立ち会い席からはあまりにも距離がありすぎた。

ソニアの剣が微動だにしないカムイを切り裂こうとした、寸前にカムイが動きだした。


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