廃陸の旅団
「お前さん口堅そうだな。」

「な、いきなり何を。」

ラクトは少しずつ近付きながら続ける。

「お前さんの父親もなかなか口が堅くてね、ローザス様も苦労なさったんだ。」

また一歩また一歩と徐々に近づいてくるラクトにカムイは恐怖を覚えた。

「リダクション・スフィアを手に入れる計画が決まってから、投獄されていたラクトにカムイの情報を聞き出しラクトに成り済まし、父親に命を狙われ動揺しているところを殺すつもりだったんだが。なかなか口を割ってはくれなかった。」

もうほとんどカムイの孔気刀が届く間合いのところでラクトは足を止めた。

「カムイを騙すには変装するだけでは足りない。どうしても投獄される前の記憶、情報が必要だった。しかしラクトは話そうとしない、そこでローザス様はどうしたと思う?」

また、満面の笑みを浮かべたかと思うとラクトは言った。

「ラクトの脳を生きた状態で取出し、その脳を核に俺を生み出したんだ。残った肉体は邪魔だったからな、母親と一緒にネオニーヴァス共の餌にしてやったよ。」

ゲラゲラと愉快そうに笑うラクトにカムイは思わず襲い掛かった。

「貴様ぁぁぁあっ!!」
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