廃陸の旅団
ラクトがカムイの元から離れようとした時。

ラクトはカムイの異変に気付いた。

カムイの身体が緑柱石のように光り輝きだしたのだ。

「こいつ…傷口が塞がってきてやがる。」

光はカムイの傷口に達すると、その部分を見る見る内に癒していった。

カムイはゆっくりと立ち上がる。

そして黄金の瞳と緑柱石の様な瞳とでラクトを見据える。

「こいつ化け物か…」

ラクトは手が武者震いしてるのを感じて、思わず笑みをこぼす。

カムイはいつも通りに、いつもとは違った孔気刀を造り出した。

緑柱石の様に輝き、硝子の様に透ける孔気刀。

「いくよラクト。オレはまだ死ぬわけにはいかないからね。」

音もなく消えたカムイは轟音を響かせながら鋭い斬撃を放った。

難なく受けとめたラクトだったが、その斬撃の威力でわずかに弾き飛ばされた。

「ローザス様と同じ能力か…嫌になるね。」

ラクトは羽織っていたコートを脱ぎ捨てると、剣を構えた。

またカムイが視界から消える。

ラクトの集中力も最高潮に達し、その空間に張り詰めた空気が流れる。

「こっちだよラクト。」

右側からの声を認識した時にはすでに斬撃が目の前に迫っている。

それを受けるラクトの剣を弾き、逆方向から追撃が襲う。

身体を反らす様にしてカムイの攻撃を避けたラクトが間合いを取った。
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