廃陸の旅団
目を見張るような攻防が一旦やむと、ラクトは肩を切らした。

「ふー。なんだろうねこの感じ。まるで二人を相手にしている気分だな。」

真っすぐにカムイを見つめるが、その視線の先にはカムイともう一人の少年の姿が映った。

「悪いけど休ませてやる気はないよ『剣嶺』」

孔気刀を手のひらに圧縮してカムイは一気に間合いを詰めた。

地面から生える幾千もの刄がラクトを襲う。

そのスピードと数の多さにラクトは受け切ることが出来なかった。

続け様に上空から時雨のように刄の雨を降らすカムイ。

避けることすら許さない広範囲への攻撃。

もろに攻撃を受けたラクトの血が辺りに散布する。

「まだ終わりじゃないぜ。」

ラクトに向かって円を描くカムイ。

円からは波状に刄が飛び出し、幾百もの刄に身を貫かれたラクトに追い打ちをかける。

「終わりだラクト『朧』」

今までに繰り出した刄がそれぞれ光を放つ。

そしてカムイが手を握ると、刄は塵のように細かい刄となり辺りに飛び散った。

その光は朧月の様にラクトの影を照らすと、ラクトの血飛沫がカムイの視界を覆い尽くしていった。
< 530 / 583 >

この作品をシェア

pagetop