廃陸の旅団
全身をズタズタに切り裂かれたラクトがふらふらと身体を揺らす。

もう立っていることすら奇跡に近いのにラクトは信じられないことにカムイに突進してきた。

「心が折れていない。ってことか?化け物め。」

「次の一撃で決めようカムイ。魂を折るには魂で攻撃するしかないよ。」

クラナドもカムイの孔気刀を一緒に握り締めた。

二人はまるで互いの身体が自身の一部のように同時に動作を行った。

向かってくるラクトに真っすぐ向けた剣を大きく振り上げる。

「これで終わりだラクト!!」

空気を切り裂く音が辺りにこだまする。

真っ二つに切り裂かれたラクトの身体。

ラクトはゆっくりとカムイに手を伸ばす。

「……あぁカムイ、辛い思いをさせてしまったね。」

「――!?」


カムイはすぐにその異変に気付き、地面に崩れ墜ちるラクトを抱えあげた。

力なくカムイに笑いかけるラクトの顔は穏やかで、凄く心地がよかった。

「父さんも母さんももうカムイを抱き締めてやることはできないが……これだけは覚えていて欲しい。」

「ラク……父さん、父さん!!」

差し伸べられた手を強く握り返し必死に叫ぶカムイ。

もうすでにその瞳からは涙が溢れだしていた。

「逝かないでよ父さん。約束したじゃないか、いつかオレの造って船で天空を旅するんだって……約束したじゃないか!!」

ラクトは愛しい我が子の震える手を、精一杯の力を込めて握った。

「大丈夫。母さんも僕も、ずっとずっとカムイの傍にいるから。いつでもカムイの傍で…見てい、る……か……ら。。。」

必死にカムイの顔を見つめていた首から力が抜け、ラクトの頭が重力に落ちる。

「父さん?……父さん!?う、うわぁぁぁぁぁぁあっ!!」


ラクトの身体が灰のように散り消滅していく。

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