廃陸の旅団
ローザスがすぐさま2人の元にかけよる。
「さぁ、試験終了だ。ソニアが本気を出したのも悪いが、一撃を入れることができなかった為カムイは不合格とする。」
ローザスが終了の合図と共に無情にもカムイの不合格を告げた。
会場中にしばらくの沈黙がながれる。
誰しもが見惚れたその戦い。
いくらソニアが無傷だったとはいえ、ここまで健闘したカムイを不合格にするというのは誰一人として納得できなかったのだ。
その沈黙をやぶったのは意外にもソニアだった。
「ローザス副監。カムイは合格ですよ。」
その言葉に会場はまたざわつく。
「情けをかけるのか?それでカムイは納得すると思うのか?」
ソニアはカムイをしばし見つめる。
「ってか彼はオレに一撃くらわせましたから。」
ソニアは腕で隠していた右の脇腹を見せた。
すると何かで引っ掻いたような小さな傷から僅かに血が流れていた。
「あの最後の一撃。斬撃はおとりで、実際には衝撃派で相手を捕えるものだったようです。途中で気付いたけど反応が遅れて完全には避けられませんでした。だからカムイは合格です。」
ローザスは驚いていたがどこか納得したようだった。
ローザスはカムイへと向き直る。
「と、いうことらしいが自分ではどう思うカムイ?」
カムイはソニアをギッと睨みつけ不機嫌に答える。
「っていうか何で黙ってたんですかソニアさん。このまま隠されて不合格になるかと思いましたよ。」
その言葉にソニアは一人で爆笑した。
まわりの観客達は下の様子に、何が起こっているのかを把握することができないでいた。