廃陸の旅団




「お父さま。お父さま。」

青い軍服に身を包んだハイマンスの足にしがみつくローザス。

幼い頃に高熱を出してしまい両目の視力は著しく落ちてしまっていた。

「こらローザス。そんなにしがみついては歩けないよ。」

膝の辺りに顔を埋めるローザスの頭をハイマンスは優しく撫でた。

ローザスは父が大好きだった。

視力の落ちてしまったローザスでも圧倒的な存在感を肌で感じることができたからだ。

「お父さま…行っちゃやだ。」

ハイマンスは少しの哀しげな顔をして、またローザスの頭を撫でて言う。

「今日は私が将軍になって初めての任務なんだよ。これまで以上に責任も出てくる。ローザスなら分かってくれるね?」

少しの間ローザスはハイマンスの足に顔を埋めていた。

しばらくするとローザスは顔を上げて頷いた。

「お父さま、いってらっしゃい。」
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