廃陸の旅団

「どういうことだ?ここにいる皆に分かるように説明しろ。」

ローザスは呆れたように手を額にあてている。

カムイは不機嫌な表情のまま、さっきの状況を伝える。

「説明もなにも切った感覚でかすめていたのは分かってましたから。ソニアさんが言いだすのを待ってたんですよ。オレから切り出したらそれこそ怪しいし、隠されちゃうかと思ったんで。」

カムイはまだソニアのことを睨み続けていた。

それに気付いたソニアの頬に汗が伝う。

「本気出しちゃったから本当は当たらなくても傷作って合格にしてやろうと思ってたんですけど、最後のやつでちょっとムカっときちゃって黙って不合格にしてやろうかなーなんて。」

にこっと笑ったソニアの顔がどことなくニーガルに似ていた気がした。

それが直接的な理由なのかは分からないが、この後ソニアはローザスの渾身の拳骨を受けることになる。

「ふぅ。なんか腑に落ちんがまぁ、いいだろう。カムイの実力は分かったしな。それではローザス・ウィザードの名の下にカムイ・フロストマンをサーベラーとして認定する。」

闘技場から割れんばかりの拍手喝采が鳴り響いた。

観客のだれもがカムイの合格を祝福していた。


するとかなり疲れ果てているリリーがやってくる。

「そして、リリー・ホフマンはヒーラー不合格。ウェイバー合格。よってウェイバーと認定する。二人はこれから渡す物や事務手続きなどがあるから私と一緒に来い。」

拍手喝采はなり止まぬまま、カムイとリリーは闘技場を後にした。

こうしてカムイはクラナドへと確実に一歩近づいたのだった。
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