廃陸の旅団
ハイマンスはそう言うとローザスの隣に座った。

ローザスは夢にまで見た父と同じ時を過ごしているのが嬉しくてたまらなかった。

そして同時に自らの犯した過ちを深く後悔するのだった。

やがてローザスは閉じていた口をゆっくりと開き、今までため込んでしまっていたことを話しだした。

「私は昔からお父様の背中を見て育ちました。仕事に誇りを持ち向き合う姿勢は子供ながらに憧れを抱きましたわ。」

昔を思い返すように天井を見上げながら話すローザス。

ハイマンスは静かに娘の話を聞いた。

「でも、いつしか憧れは嫉妬へと変わり。またそれは憎しみにも似た感情を私の中に生み出してしまったのです。」

ローザスは胸のうちを正直に曝け出すことで、もやのかかってしまっていた気持ちが晴れていくのを感じていた。

「幼い頃に聞いたリダクション・スフィアの話。私はお父様の役に立つ為に、何よりもお父様の負担を軽くし、またいつかのような自由で暖かな家族の時間を取り戻す為にリダクション・スフィアを手に入れようとしたのです。」
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