廃陸の旅団
またしてもアリオスの姿がみんなの視界から消える。

「しばし時空の外で傍観していてくださいカムイ・フロストマン。」

アリオスは超高速でカムイの背後へと回ると、その手に持っていた鍵の形をした孔気武具をカムイに射し込んだ。

「さぁショーの始まりです『タイム・プリズン〈時の監獄〉』」

アリオスの鍵を射し込まれた瞬間、カムイの瞳から生気が消えていった。

「てめぇ、カムイに何をした!!」

ジンの電速の太刀がアリオスを捕らえた。

とだれもが思った瞬間。

「な…に…?」

アリオスを切ったと思っていたジンが逆に傷を負ってしまっていた。

そして一瞬の出来事だった。

ジンが倒れざまにうずくまっていた顔を上げた時、ジンの視界に血が舞った。

赤く紅い自らの血に溺れるようにジンは力尽きていった。

そしてジンの仇とばかりにオスカーが襲い掛かる。

「速いですね。ですが…私とあなた達とでは生きている時間軸が違うのですよ。」

あれほどまでに強かったオスカーが瞬殺されてしまう。

その事実は残ったアストンとマールにこれ以上ない恐怖を植え付けた。

恐怖のあまり後退りしたアストンの背中を誰かが叩く。

「仮にも勇者と呼ばれた人が敵を目の前に逃げるのは感心できませんよ。」
< 560 / 583 >

この作品をシェア

pagetop