廃陸の旅団
「三回にわたるシュミレーションで我々が得たのは、どんな世界であれ人間は愚かで、争いを好み、自ら破滅への一途を辿るという最悪な事実だった。」
重苦しい空気がその奇妙な空間に流れる。
「とは言え我々のプログラムも完璧には程遠いものだ。ウィルスやバグによってソフトを攻撃されるので、それの対処法としてスフィアと呼ばれるワクチンを拡散させた。その最たる物がイーブンブンスフィアだった。」
そして次々と七人が立ち上がる。
「前回、前々回のシュミレーションの結果と今回のシュミレーションの結果とを考察した結果。我々は苦渋の決断にいたることを決意した。」
「苦渋の決断…だと?」
静かに開かれた扉の先には、四人の女性がカプセルの中で保管されていた。
保管された遺伝子を注入して、新たな人間を生む為の母体として選ばれた女性達だったのだ。
「そう、人類再生の断念だ。地球と共にその命運に幕を閉じるのが人間にとって最良の選択だと判断した。」
「我々は君の視界に写る年齢ではない。あと数年もすれば寿命を迎える老いぼれだ。我々の命が尽きれば人類はこの世に蘇ることなく、宇宙の歴史とともに闇にかえる。これでもう人間が過ちを犯すことはなくなる。」
ハイマンスがステーション内の全ての動力を止めようとスイッチに手を掛けたその瞬間。
「ふっざけるなぁあっ!!」
カムイの叫びが部屋にこだました。