廃陸の旅団
僕たちは巡り合う
「僕たち、次に生まれ変わる時には本当の親友になれるといいね。」
懐かしい言葉が浮かんでは消えていった。
いつの日か誰か、大事な人とかわした約束。
よくは思い出せないのだがその言葉はとても温かかった。
「…イ。」
誰かの声が聞こえた。
とても懐かしくて温かくて、ほんの少しだけくすぐったい声。
でも何故だろう、この眠りから覚めたくないのは。
「…ムイ。」
真っ暗なのに心地がいい。
目を瞑っているのに不安がない。
そう、このまま起きることがなくても良いとさえ思ってしまう。
「…カムイ。」
カムイ?そうか、オレの名前だ。
でも、呼んでいるのは誰?
あれ?今まで俺は何処にいたんだっけ?思い出せない。
思い出そうとすると頭が痛む。
もう、いいや。
このまま眠り続けてしまおう。
「…神居雪人!!(かむいゆきと)」
ゴンと頭のてっぺんから鈍い音が聞こえて神居は目を覚ました。
「…いってぇ。何すんだよ!!…ってリリー?」
痛む頭を手でさすりながら目にしたのは、大人し気で可愛らしい女の子の姿だった。
「…リリー?何また寝呆けてんのよ。私の名前は百合(ゆり)でしょ。」