廃陸の旅団


百合は呆れた、と言わんばかりに肩をすくめた。

そんな二人のやりとりを見て周りの生徒はクスクスと笑っている。

「あ、でもアレだよな。確か百合って英語でリリーじゃなかった?」

隣に座っていた男子生徒がそう言うと、手に持っていた辞書を見せた。

「あ、ちなみに雪人はフロストマンだぞ。」

百合は差し出された辞書を覗き込む。

「…あ、本当だ。でも何?神居あんたこんなガキみたいな言葉遊びが面白いわけ?」

「いや、てゆーか…あれ?オレ何かしてなかったっけか?」

神居は何か大事なことを思いだそうと目蓋を閉じる。

するとザザザとぶれてしまっている記憶の画面の中に七人の人が写った。

しかし、その七人の顔を思い出すことも、何を話していたのかを思い出すこともできない。

「あんたがしてたのは居眠りでしょ。また、あの夢でも見てたの?」

百合がそう言うと、教室の所々で納得するような声が聞こえた。



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