廃陸の旅団
「今回、お前とリリーの初任務はニーガル中将の補佐だ。君達にはとても重大な任についてもらうことになるだろう。」

「俺とリリーさんでニーガル中将の補佐?」

ローザスは小さく頷く。

「二人にはB.A.S.E就任を公表する前に二つの仕事をしてもらう。一つ目は核下地区にある全宗教の発祥の地であり聖地とされる『セイクリッド・モース』にいる修道女に協力を要請すること。」

核下地区とは大地の真下にある地下世界のことで、人工太陽と呼ばれる超巨大な自然発光体を所有する地区である。

「なぜ修道女を?」

「ああ。マールという少女で実際に会ったことはないんだが、話によれば一世紀に一人の天才ヒーラーとのことだ。」



「彼女にはスフィアの融合消滅という最高難度の治癒術に挑戦してもらいたい。それはクラナドの様に墜ちた者達からスフィアの呪縛を解く為に必要不可欠な術だ。だからしっかり連れてこい。」

「はい!!」

カムイは勢い良く敬礼をする。


そしてローザスは核下地区への地図と核下地区に入るための許可証をカムイに渡した。

「でも、ヒーラーならB.A.S.E.にも沢山いますよね?スクルド老師もいますし。」

「スフィアの融合消滅というのは本当に難しい治癒術だ。大賢者とまで言われたスクルド老師の力をもってしても会得できなかったほどのな。」

ニーガルによって受けた傷は相当深いもので、もしスクルド以外のヒーラーが処置に当たっていたら、あるいはカムイは死んでいたかもしれなかった。

それほどまでの力をもつスクルドをして会得不可能な術とはいったい何なのか。

「今までにそれが出来たのは術を開発したアーリアというヒーラーだけ。術が開発されて四半世紀たった今でも成功した例はない。」

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