廃陸の旅団
石造りの建物を横目に石畳の道を抜けていく。
それは歴史の資料に載っていた古代都市を彷彿とさせるシンメトリーを基調とした物で実に神秘的だった。
「それにしても広いですね。セイクリッド・モースはどこにあるんでしょうか?」
「どうなんでしょうね……あそこにいるおじいさんに聞いてみましょうよ。」
2人は道の段差に腰を下ろして休んでいる老人に話を聞くことにした。
「ほえ?見ない顔じゃのう……それにその服装。そうか核上大地の者か。」
"核上大地"とは核下地区における、カムイ達の住んでいるケルセウムなどがある大陸を指す言葉である。
「はい。観光で来たんですがセイクリッド・モースを探していまして、どうやって行けばいいのか知りませんか?」
「セイクリッド・モースに行きたいとはその歳でかなりの熱心な宗教家じゃな。勿論場所は知っとるが、あそこは一般人には禁進区域じゃ。入れんよ。」
セイクリッド・モースは数多くの宗教の集合聖域になっている。
その為対立宗教などがもめ事を起こさないように、各宗教の代表者が決められた時間にしか入ることを許されていないのである。
「私達どうしてもセイクリッド・モースの修道院を尋ねなきゃいけないんです。何か方法はないんですか?」
不安そうに尋ねるリリーを愉快そうに見ながら老人は言う。
「ないことはないが……1つ条件があってのう。」