廃陸の旅団

天才少女






「…………ん。んん。」

リリーの膝で眠っていたマールがようやく意識を取り戻した。

「良かったぁ目が覚めたのね。」

マールの霞んだ瞳に優しい笑顔の女性が写る。

「お母さん…?」

マールはその女性の頬に手を伸ばし、嬉しそうに微笑んだ。

あんな性格をしているが、まだ十歳の少女である。

しかし愛しく伸ばしたその手を握り返してくれてたのは、母親ではなかった。

「マールちゃん大丈夫?」

頬に当てられた小さくか細い少女の手をしっかりと握り返すリリー。

かなりの時間看病していたのだろう額には汗が光っていた。

「な、な、なっ!!なに人の手握り締めちゃってんのよ。離してよ!!」

マールは慌てて自分の手をひいた。

「な、何よ。何で涙なんか流しちゃってるのよ!?今時そんなん流行らないんだからね。」

自分を看病してくれていた女性は、泣いていた。

マールには何故だか分からなかった。

「だって、マールちゃんが元気になってくれて嬉しかったんだもん。」

トクン。とマールの不器用な胸が音を立てる。

しかし自分ではその感情には気付いてはいないようだ。

「バッカみたい!!そうゆうのダサいのよ……でも、ありがとう。」

最後の五文字はとても小さくて聞こえにくかったけどリリーははっきりと聞き取ることができた。

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