廃陸の旅団
授業が終わると、カムイとクラナドは地下にある機関長室へと向かった。
中に入ると機関長、五人の先生、ニーガル中将の他にも政治家や資産家などがカムイの到着を待っていた。
「やぁ、カムイ君。と……えっと?」
ニーガルはカムイを大歓迎しクラナドの方を見る。
「あ、クラナド・ウォーカーです。」
「そうかカムイ君のお友達かな?そうか、そうか。」
ニーガルは何かを自分の中で納得して、集まっていた人達の方へ向き直す。
「みなさん。これからB.T.(擬似戦闘シュミレーター)を試そうと思います。まずはこのクラナド君にチャレンジして貰うというのは如何でしょうか?」
ニーガルはごついゴーグルを取り出し集まった人々に見せる。
ニーガルの提案に、室内が騒めく。
「B.T.は軍事育成の為の物だぞ、カムイならともかくクラナドではまだ無理でしょう。」
その一人の教師の言葉にクラナドが反応した。
クラナドはただカムイの傍にいれば女生徒が近づいてこないから一緒にいるわけではないのだ。
成績優秀でカムイが入ってくるまで、クラナドは常に施設内でトップに君臨していた。
しかしカムイの登場で挫折を初めて味わったクラナドだったが、同時に人生で初めての目標を見つけることとなるのだった。
クラナドは目標であるカムイを側で見ている為に、常にその背中を追い掛ける様にとカムイの側にいるのだった。
クラナドは数年に一人の才能を持っている。
それでもカムイと比べると、彼の才ですら霞んでしまう。
だからといってカムイに劣る物があるのは仕方ないなどと、妥協したことなど無かったのだ。
それだけに先の先生の言葉はクラナドのプライドを踏み躙るものだった。
「やります。僕にやらせてください。」
いつになく力強い目でクラナドはニーガルを見ていた。