廃陸の旅団
「なんか焦げ臭いわね。……あれは!!」
カムイと騎士団長の戦いが激しさを増す中でリリーが最初にその異変に気付く。
さっき弾き飛ばした炎が神木の根元にあたり、根元を徐々に焼いてしまっていたのだ。
枯れて水分を含まない神木は格好の引火物となり日は瞬く間に根元を焼き切ってしまう。
それがカムイ達に向かい倒れはじめたのだった。
「危ない!!!」
リリーがそう叫ぶと、それに気付いたマールが飛び出そうとした。
必死に抗うマールをを騎士達が止める。
リーダーはカムイに弾き飛ばされて身動きがとれずにいる。
騎士達は我先にと逃げまどい。
誰も何をすることできぬままに、ドォォンと大きな音をたてて神木が崩れた。
脆い神木は地面につくと破片となってバラバラと弾け飛んでいく。
音とともに地面の揺れがおさまるとカムイとリーダーの姿はそこに見えなかった。
砂ぼこりの中から温かな光が溢れる。
それはリリーの神域の光だった。
リリーは何人かの騎士を守りながら術を発動し続けていた。そのために怪我人は出ずに済んだ。
「だ、誰か助けてくれぇぇぇっ!!」
すると、倒れた神木の中央あたりから微かに声が聞こえた。
騎士達が総出で木を破壊していくとリーダーの姿を見つけることができた。
額から血を流してはいるが命に別状はないようだ。
「大丈夫ですかリーダー?」
「俺は大丈夫だ、しかし……少年が俺をかばって。」
リリーが近づくとカムイがリーダーをかばう形で四つんばいになっていた。
脇腹を枯れ木が貫通しおびただしい出血をしながら。