神様に背いた二人
トーマのちょっと後ろの席に座ると、講義が終わるまでトーマを観察していた。

一年、トーマと付き合ってきたからわかる。


トーマのあの様子は、落ち込んでる……というか、悩んでる。


ノートもとっていない。


"カンナのヤツ…。あんなにアタシにトーマのコト好きって言ってたのに…。"


講義が終わると、アタシは教室を出ようとした。


その時!


「リコ。」


振り返るとトーマがいた。

いきなり話しかけられて、慌てるアタシ。


「えっと…。何??」


「この前の男…。ホントに兄ちゃんなのか??」


「ん。そうだけど。」


「そっか。わかった。急にゴメンな。」


そう言い残すと、トーマは去って行った。
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