虹色サイダー
案内された部屋はそれほど広くはなかった。


ただ部屋にあるものはほとんど見たことがない。



「虎はこっちで寝てね。俺はもう少ししてから寝るから。あ、あと」



寝具を指さし、儂を見た。


その刹那、ダイの表情が硬いものへと変化する。



「妹を泣かすのだけは、許さないから」



それだけ言って、部屋の灯りを消し、戸を閉めて行く。



食えない奴だ、あんな男がいたら我が一族も苦労することは少ないだろうに。


あれ程の度量を持つ男もなかなかいまい。



柔らかい寝具の上に腰を下ろし、刀を枕の上に置き、考える。



何がしたいのか、自分でもわかっていない。


 
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