虹色サイダー
突如回った世界に、身体が痛みを発信する。


あ、オレ落とされた? と気づくまでに五秒。


背中を蹴られたような感覚を思い出すまでにさらに三秒。



「あ、あの、えーと……って、ちょっ、ちょちょちょ!!」



思李の間抜けな声が聞こえ、体勢を起こしたとき。



月に照らされて、淡い光を放つそれが、目の前にぬうっと現れた。



これって……日本刀ってヤツ?


てかこれ誰だ?



顔を上げれば知らない男。


部屋からの逆光のせいで顔はよく見えないが、取り敢えず怒ってることはよくわかった。



「ん……え、思李?」


「黙れ」



怒りの矛先はやっぱりオレ。


短く発せられた声は迫力っつーか鬼気迫る感じがあって、なかなかに手強い。


 
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