虹色サイダー
「何が可笑しい」



そんなあんたたちが。



そう言ってやりたい気もするけど、オレもそこまで善人になれない。



「いや……悪い、ちょっと……な」



曖昧に答えたオレの言葉を、思李はちっとも理解しちゃいない様子。



「どかしてくんね?」



取り敢えず状況を変えようと、目の前で主張しまくってるこいつを指さして言ってみる。



「どかして欲しければ、何をするつもりだったか答えてみろ」



オレは余程この男の機嫌を損ねたらしい。


そりゃあんまり態度その他いい方じゃねぇが、まあこれは別の理由か。



だけどさっきの思李の態度を考えると、そういうわけでもなさそうだ。



あー、つまり?



ここにオレがいるのはそうゆう役目ってわけだろ。



「何ってなんだろな。触って、抱きしめて? その後は知らねぇ。本能の赴くまま?」



神様はとことん意地が悪い。


このオレにそんなことをさせるって、そりゃ残酷。


 
< 32 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop