虹色サイダー
何、オレ勘違いでもしてる? と悩み始めた頃に、ようやく日本刀がすうっとどいてくれた。


そしてそのまま、その切っ先はオレの持ってきた西瓜に向かい。



見事に、まっぷたつ。



「上等じゃねぇか」



思わず呟いていた。


目が慣れたのか、この男の顔がはっきりわかる。



低い温度で、底知れない感情を腹の奥にたぎらしてやがる。



「今度あれに勝手な真似をしたら」



『あれ』呼ばわりかよ、もう自分のものだって思ってんじゃねぇか。



「……なんだよ」



精悍な顔立ちの中、鈍く光る瞳がオレを見下ろす。



「容赦なく貴様を――っ!」



その瞬間、驚くほどこいつは機敏だった。


持っていた日本刀が当たらないように手の角度を変え、素早く思李の頭に左手を添える。


 
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