虹色サイダー
間一髪、思李の頭がサッシに激突するのは防げた。



「「思李!」」



あ、やなとこでハモっちまった。


こいつも同じことを思ったのか、思李に近づいたオレをぎろりと睨む。



それはわかっけど、今はそんな場合じゃないだろ。



「思李、だいじょぶか?」



顔を覗き込んで、その頬を軽く叩こうとオレが手を出す。



と同時に、男が思李の顔をオレから引き離す。


いつの間にか日本刀は脇に置かれ、両腕でしっかり思李を抱きかかえてた。



……余程、大事な用で。



てかだから! 今はここで意地の張り合いをしてる場合じゃないっつーの!



「気を失っただけだ」



そう冷静に言うなよ、内心怒ったオレが馬鹿みてぇじゃねぇか。



「部屋に運ぶ」



なんだよ、お前思李の部屋入ったことあんの?


じゃオレがあんなことする必要なかったんじゃね?


 
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