虹色サイダー
「何をにやついている」



素直に顔に出ていたのか、眉を寄せた虎に怒られてしまった。


これはますます遊び心が疼く。



「なんでもないけど。でもさ、本当に気づいたらここにいたの? なんかしたりしなかった?」



スピリタスにめんどくさいので台所で調合してきたものを注ぎ、マドラーでかき混ぜる。



「目が覚めたら目の前にあれがいた」



ちゃんと思李って呼んであげようよ、と思いながらだいぶ適当なカクテル『カミカゼ』を虎の前に置いた。


ウォッカじゃなくてスピリタスだし、コアントローは製菓用にあったけど、ライムジュースの代わりにすだちだし、というかシェーカー使ってないし。


これを君にちなんで『ブシドー』と名付けよう。



「そっか。じゃあ原因は思李の方にあるのかな」



ちょうど焼酎が空になっていたので出された『ブシドー』を手にした虎の眉がぴくりと動く。


 
< 45 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop