虹色サイダー
「飲まないのか?」



グラスを抱えたまま、唖然としていた俺に、まさかの追い打ち。


聞いているようで、それはあれだ、飲めと言っているようなものだ。



さっきから虎は、俺が同じように飲まないと自分も飲まない。


誰に教わった礼儀だか知らないが、自分が飲むのなら人にも勧める、という。


まあ、自分は飲まないくせに他人にばっかり勧める奴よりいいんだけど。



明らかにアルコールの許容範囲が違う、俺は圧倒的に不利じゃないか。



「いや、飲むよ。虎も飲みなよー。他にも色々あるしさ」



落ち着き払って言ってみるものの、俺は完全に舐めていた、年下だと思って舐めていた。



これが……戦国武将か……



「ダイ、先程の話だがな」



ああ、でも思李の為だ。


困惑して面倒見の良さを発揮するだろう、妹の為。


 
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