虹色サイダー
あの鈍感妹のことだからなんもわかっちゃいなかったみたいだけど、明らかに守ろうとしてた体勢だったし。



うーん兄としては複雑?



「無理強いをしてここまでついて来た。それはすまぬと思っているのだがな」



いや、そこまで嫌な男じゃない、それは勘だけどなんとなくわかる。



「気にしなくていいって。俺は楽しいけど?」



本当に過去から来たかは別だとしても、あの状況で自分を盾に出来るような男だ。


きっと喧嘩しても俺勝てないけど、妹にはなんとかするって、とかかっこつけてみたけど。



「妹が男を連れ込んできて楽しいとは、変わった奴だな」



きっと単に俺が仲良くしたかっただけかもしれない。



「えー、虎に言われたくないな。勝手に上がり込むような男だろ?」



そんなこと思ってる俺って世間から見たら馬鹿かもしれない、妹に知れたら怒られるかもしれない。


でも、案外率直な想いって大切なものだったりする。



虎の笑い声が、風呂に反響した。


そして俺の頭には誰かのお叱りかのように、雫が一滴落ちてきた。



‐了‐
 
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