mermaid
Chapter2 【歌えない】
あれから二日が経った。
あの後、父上は私を部屋から出そうとしなかった。
私も出ようとは思わなかった。
だって、人間は忘れるんじゃないの?
忘れないで、とは願ったよ?
でも、本当に忘れないとなると
どうにもしっくりこない。
「レイラ?入るぞ」
私は急いで持っていた本をベッドに隠した。
「な、なに?」
「なぜパーティーを抜け出したのか
そろそろ話す気にはなったか?」
やっぱりそうくるか……。
*