メイドのお仕事
◆利琥◆


いない…いない…。


どこを探しても、葉凪が見つからない。

まじでどこ行ったんだ、あいつ…。



……っ屋上?

屋上はまだ探してない!


俺は屋上への階段を一気に駆け上った。

重い扉を開けると思った通り葉凪がいた。




でも、思ってもいなかった事…。


葉凪は飛び降りようとしていた。


俺が呆然としていると。



「………ばいばい」



その言葉にハッとする俺。

葉凪に駆け寄り手を伸ばす。


届くかー…!!





「葉凪!やめろ…っ!!!」





俺は何とか葉凪の手を掴んだ。


「痛いっ!離してよ…っ!!」

「お前!何やってんだよ!!」


俺は葉凪に怒鳴った。

「利琥……」


「お前探してて…見つけたと思ったらお前っ…飛び降りようとしてて…」


まじ焦ったんだからな。





「私、もう死にたい……生きてたって、みんなに嫌われるだけだから!!」





「…っ、何言ってんの?いるじゃん…俺が」

目の前に…こんなに想う奴がいるのに、……いい加減気付け。



「え…?」

葉凪に近付く。


「分かってないの?お前がいなくなったら…俺、困るんだけど」

「利琥…?ちょっ…近いよ」



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