メイドのお仕事
◆利琥◆


「美優」

俺は葉凪に振られた後、美優のところにいった。


悲しみより、怒りの方が大きかったから。


「あれ、利琥。どうしたのっ?」

葉凪に対する態度とは全く違う。


「お前、葉凪に何て言った?」



「なに、その声のトーン。怒ってるのぉ?」


「いいから言え!!!」

俺は思わず、声を荒げた。




「…葉凪に言ってもいいって、利琥が言ったんだよ?」

「……っ!?」


「どんなやり方でも良いって私的に解釈したんだけど」



「ふざけんな…葉凪を傷付けやがって…許さねぇ!!」


葉凪の悲しそうな顔を思い出す。胸がチクンと痛んだ気がした。




「ふ~ん。でも、利琥に別れようって言ったのは葉凪なんだよ?私に言っても仕方ないじゃん」


「何て言ったんだ」

「教えないっ!私が有利になるような事を言ったの」

 
埒があかねぇな…こうなったら。



「お前……気付いてんのか?」

俺は鼻で笑う。


「え…?」

「孤独だし、痛いし…虚しいなお前。俺らは全然平気だから」


「平気?」


「こんな事したって無駄だっつってんの」

俺はくるっと振り返ると中庭を目指して歩き出した。



「……待って!!」

「あん?」


「教える…教えるから嫌いにならないでぇ……!」



ほら、ざまぁねぇな。


「教えろ」

「っ……はい」


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