メイドのお仕事


「安心してよ、もう何にもしないから」


「ちょっと待って…、どういう事?」



「そのまんまだよ。飽きたの、あんたを苛めるのも…利琥も」

美優はいつもと変わらず、私たちを見下しながら笑う。


「俺?」



「あんたみたいな女ったらしを好きだったなんて、どうかしてたわ」


ちょっとちょっと、あんたがそんな事言う資格ないんじゃない?

「あ、そ」


「拓弥も繭も気持ちは一緒よ。じゃ、ばいばい」


何よそれ…。

そんな簡単な言葉で逃げる気?卑怯者。



「待ちなさいよ」



「え?…何よ」

「勝手な事言ってんじゃないわよ」


都合が悪くなったからってそれはないんじゃないの?

びびる位なら最初からするなって話じゃん。



「葉凪…、やめろ」



だって、こんなのおかしい。


「ふん、ムキになっちゃって……あぁ、根にもってんの?」


「そんなんじゃない、ただ筋を通せって言ってんの」






「…うざ。はいはい、私が悪かったわよ」


美優は適当に言葉を並べて、足早に去ってしまった。



「あ、ちょっと待ちなさいよ…!」


< 156 / 280 >

この作品をシェア

pagetop