メイドのお仕事

私は教室から出ようとした。


「おい、風雅!どこに行くんだ、さっさと座りなさい!」



タイミング悪く先生が私に怒鳴る。


「あ、すいません」

慌てて席に戻ると、いつの間にか座っていた女たちが笑う。


「プッ、だっさーい!」

「つかお前に居場所ないし!」

「あ、それ言えてる!あははは」


甲高い、うざい声。

先生は気にも留めない。



私はただ冷たい視線を浴びながら、俯く事しか出来なかった。




休み時間、本当に教室に私の居場所はなくて、トイレに駆け込んだ。

壁に寄りかかって考える。


―――これからどうしよう。


こんな事、利琥にも祐樹たちにも言えない。


…私、弱いな。

今日三回目のため息をついた時だった。




「ここ?」

「うん、そこー」


さっきの女たちの声がした。


身体が固まる。




「あ、大丈夫だよーもう知ってるから」

「あはは、隠れてんの?バレバレだよー」

…私に言ってる?


―――コンコン。


私のいる個室のドアを叩かれる。


「うざいんだよ!!」

その声と同時に私に降りかかってくる冷たい水。



< 202 / 280 >

この作品をシェア

pagetop