メイドのお仕事

「決まってんだろ?身体で返せ」


…はい?

「あの…今、何て?」


「だから身体で返せって言ってんの」


利琥…あなたと間違ってしまった事、心から謝ります。

風雅葉凪、一生の不覚!



私があわわしてると。

彰が私を馬鹿にしたように笑った。


「冗談だよ、ばーか」


「…え?」



「おめぇみてぇな幼児体型に興味ねぇし」



彰は私の肩を両手で持つと、切なそうに笑って。


「それに俺、処女嫌いなんだわ。ごめんな」


顔が赤くなるのが自分でも分かる。

「な……なななな!!!」



「ふっ…本気にしちゃった?」


「そんなわけないでしょ!馬鹿!!」

「喚くなって」


彰は私を両手首を捕まえ、私の耳に自分の唇を近付け…囁く。



「あんた、可愛い。なんなら本気で襲ってあげようか?」

トクン、と胸が高鳴る。


「な…っ」




「あんた名前は?」


戸惑う私に尋ねる彰。



「…え?」


「さっさと教えろよ。お礼はそれでいいから」


そう言って私から離れる彰。

「風雅、葉凪です」



「葉凪ね、分かった。俺の事は彰って呼んで」


「あ、はい」

と、いうか既に彰って呼んでましたし。


「またな」


クシャクシャと私の頭を撫でてトイレから出て行く彰。

その後ろ姿は…やっぱり利琥にそっくりだった。


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