メイドのお仕事
祐樹たちが空気を読んで部屋を出て行ってくれる。
それを確認して、俺は葉凪を呼ぶ。
「葉凪、こっち来い」
「……え」
「いいから、来い」
ちゃんと言いたいだけだから。
そんな怖がんなって。
葉凪は俺との間に微妙に距離をつくった。
おい、何だその分かりやすい距離感は。
―――グイッ
「きゃっ…」
優しくなんて、出来ないけど。
「ちょっ…利琥!?」
「……」
それでも伝えたいんだ。
「離してよ…っ」
離すかよ。
お前がいなきゃ駄目なんだよ。
「悪かった」
意味張ったって良い事ねぇな。
「信じられなくて、ごめんな」
俺は、葉凪に何て事をしたんだろう。
「あの時のキスマーク、彰に無理矢理付けられたんだろ?」
「ううん、あれは…私が悪かったの」
「違う…俺、お前の事責めて、信じてやれなくて」