メイドのお仕事
あの日から
◇葉凪◇
「これ…だよね」
のどかな町並み、田舎のような場所、町外れの坂を上った所にあるお墓。
私のお母さんと、祐樹のお父さんの名前が彫ってあるお墓が二つ並んでいた。
「うん、これだね」
祐樹の横顔は切なそうに笑っていた。
「はい、お線香」
私は持っていたお線香を半分に分けて、祐樹に渡す。
「ありがとう」
か細い声。
祐樹は不安な表情を隠しきれてない様子だった。
「あ、私…水汲んでくるねっ」
気まずい雰囲気を断ち切るように、明るく声を出す。
祐樹は返事の代わりに、小さく頷いた。
上ってきた坂を下る。
下りながら祐樹を見ると、その肩はがっくりと下がっていた。
「祐樹…」
祐樹は人一倍優しくて、純粋で、すごく繊細なんだ…。
そんな祐樹に何もしてあげられない自分に腹が立った。
ごめんね、祐樹…。
私は桶に水を汲んで、急いで戻った。
坂の途中、しゃがみ込んだ祐樹を見つける。
祐樹の肩は上下に震えていた。
…泣いてる?
私は、その場に立ち尽くした。
小さく、祐樹の声が聞こえてきた。
「お父さん…ごめんね……僕、逃げてたんだ…ずっと」
泣きじゃくりながら、祐樹は言葉を続ける。
「でも…分かったよ、お父さん……、お父さんの気持ち……分かったから…」
私は祐樹に駆け寄った。
「これ…だよね」
のどかな町並み、田舎のような場所、町外れの坂を上った所にあるお墓。
私のお母さんと、祐樹のお父さんの名前が彫ってあるお墓が二つ並んでいた。
「うん、これだね」
祐樹の横顔は切なそうに笑っていた。
「はい、お線香」
私は持っていたお線香を半分に分けて、祐樹に渡す。
「ありがとう」
か細い声。
祐樹は不安な表情を隠しきれてない様子だった。
「あ、私…水汲んでくるねっ」
気まずい雰囲気を断ち切るように、明るく声を出す。
祐樹は返事の代わりに、小さく頷いた。
上ってきた坂を下る。
下りながら祐樹を見ると、その肩はがっくりと下がっていた。
「祐樹…」
祐樹は人一倍優しくて、純粋で、すごく繊細なんだ…。
そんな祐樹に何もしてあげられない自分に腹が立った。
ごめんね、祐樹…。
私は桶に水を汲んで、急いで戻った。
坂の途中、しゃがみ込んだ祐樹を見つける。
祐樹の肩は上下に震えていた。
…泣いてる?
私は、その場に立ち尽くした。
小さく、祐樹の声が聞こえてきた。
「お父さん…ごめんね……僕、逃げてたんだ…ずっと」
泣きじゃくりながら、祐樹は言葉を続ける。
「でも…分かったよ、お父さん……、お父さんの気持ち……分かったから…」
私は祐樹に駆け寄った。