メイドのお仕事
◆利琥◆


今日は美少女コンテスト当日。

全生徒参加だが、もちろん参加する気はない。


屋上でぼんやりしてると、ドアが開いた。



「……利琥」


「祐樹…」


目の前には何だか懐かしい祐樹がいた。

あぁ、俺らっていつも一緒にいたっけ。


「久しぶり、利琥」


何も変わってない祐樹。

軽く動揺してる俺を見て笑うと、横に並んだ。


「何だよ、突然」


「葉凪ね、ちゃんと僕たちのメイドやってくれてるんだ」

「…へぇ」



平然を装っていても、目が泳いじまう。


「何で、陸は来ないの?」


「……」



答えられなかった。


お前らが葉凪に気安く触るから…なんて、言えるわけない。



俺は、中途半端なまま香と付き合っちまったわけだし。




「葉凪、コンテスト出てるよ」


「あぁ、聞いた」



「心配じゃないの?」

「心配って、何が」



「―――優勝しちゃうよ?」



祐樹、お前には全部お見通しなんだな。

「あの事件、知ってるんでしょ?」




< 60 / 280 >

この作品をシェア

pagetop