メイドのお仕事
「葉凪は…利琥の事、好きだと思うよ」
俺を見ないまま、祐樹はクスッと笑う。
「余計なお世話なんだよ、俺はどんな事があっても葉凪を守る」
そんな強がりしか言えない俺に、祐樹は安堵の表情を浮かべた。
「うん、利琥ならそう言うと思った」
本当は心のどこかでずっと考えてた。
風雅、葉凪の事を。
香よりも、誰よりも。
離れてみて分かったつーか、いつの間にか葉凪は祐樹たちと同じ存在になっていた。
…俺が、守る。
「あと……」
「ん?」
「みんな…戻って来てほしいって…言ってた」
「え…」
「やっぱり僕たちは4人じゃなきゃ駄目なんだよ、帰ってきてよ」
瞳を濡らし、じっと俺を見る祐樹。
「分かってるよ、さんきゅ…な」
きっかけを作ってくれるのはいつも祐樹だった。
まじ、すげぇ感謝してる。
祐樹が手を振ったのを合図に、俺は体育館へ走る。
ドアをくぐると、真っ先に葉凪を見つける。
…やべ。
溢れそうな感情を抑えながら席に着くと、携帯が震えた。