君とみた未来
恭平があたしのおでこをつつく。

「恭平にも、責任あんだぞ、オラッ」

あたしも、恭平に頭突き返してやる。

あたし達の言い合いがまた始まりそうになった時。

「あんた達のこと学校にバラされたくなかったら、そのまま続けてもらっても構わないんだよ」

近くでおばばの脅迫が聞こえた。

あたしと、恭平の動きがピタッと止まる。

あたしと恭平の付き合いを母さんには言ってあるから、こういう時はおとなしくするしかなかった。

「あーやっと静かになったわ、これで韓流ドラマが見られるわねぇ」

お菓子とお茶を持ちながら、母さんは勝ち誇った顔で、自分の部屋へ入って行った。



三日後。


イヤだイヤだと、随分ねばったけど結局、一緒に産婦人科へ行くはめになった。

「すっごい、時間かかんの?」

恭平と並んで歩きながら聞いた。

「さぁな、早く終わったら、久しぶりに何処か遊びにでも行くか?」

「なに、その言い方。でも、ってなに?別に無理してもらわなくてもいいんだよ。このまま家に帰って、勉強でもしてるから」

「ごめん。樹理とデートがしたいです。ぜひ、させて下さい」

恭平が両手を合わせて頭を下げる。

「それだけ?」

「可愛い樹理とぜひデートをさせて下さい。もちろん豪華御食事付!」

「ま、そこまでいうんだったら別にいいけどね。家にいたって勉強するわけじゃないし」

あたしは恭平の腕に、自分の腕をからませた。

「お前、さっき言ったことと矛盾してるぞ」

あたしが勉強しないことくらいお見通しのくせに……。

あたしはニッコリ笑った。

…………。

…………。

さっきまでの悪ふざけもどこかへいってしまうくらい、恭平もあたしも、今、緊張していた。

その建物は、イチョウ並木の道路に面した所に建っていた。

建物に入るまでに庭があって、松などの観葉植物がたくさん植えてあった。


そこはまるで、病院というより、一軒家のような雰囲気があった。

「こ、ここ……ここだよ。き、恭平。表札の文字間違えてない?」

「お、おぉ。サクラガオカだ」

「そ、そう」

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