君とみた未来
「ごめんなさい。大丈夫よ、たまに感情のコントロールが出来なくなるの。でも、大丈夫よ。ごめんなさいね」

「樹理、翼君と一緒にちょっと遊んでこいよ」

恭平が言った。


そんな、小さい子と遊んだことないよ!


どうやって遊べばいいの?


あたしがまごまごしていると、恭平が「ほら」と翼君をあたしに預けてきた。

あたしと翼君の目が合う。

「えっと、とりあえず、遊ぶ?」

あたしは、翼君に聞いてみる。

「うん」


何して遊べばいーの?


ブランコって、こんな小さい子乗れるの?


すべり台だって、あんなに高い階段上らせるの危ないし。


「恭平、あたし」


遊ばせてあげることなんて、出来ないよ!


「あんまり遠くへ行くなよ」


もぉ!


「……行ってくる」

あたしは、翼君の手を握って歩きはじめた。


こんな小さい子と遊ぶって・・どうすればいいの!


あたしが遊ぶのって、ショッピングとか映画とかプリクラとかで、この年で公園なんて遊ばないもんなぁ。


あたしが二歳くらいの時って、何で遊んでたんだろう。


覚えてないよ~。


「あ!」

翼君が、突然声を出した。

「何?どうしたの?」

あたしはその声に反応する。

「あっぱ。あっぱ」


あっぱ?


翼君が指差した所には、トゲトゲのついている葉っぱが生い茂っていた。

「これ、いたーの。あっぱたん、ちくって、つば、うぇ~んって、な~たの」

「翼君、葉っぱさんにチクッてされたんだ」

「うん。あ!」

また翼君が、何かを発見した。

「なぁに?」

あたしが聞いてあげる。

「あめ?」

と言って、翼君は飴の包み紙のゴミを拾った。

「汚いよ、翼君」

「たない?」

「うん、ゴミだよ、ゴミ。あ、あたしあるよ。なめる?」

あたしは、バックから一個、空色のキャンディーを取り出すと。

「翼君のお洋服の色と同じだね」

包み紙から飴を取り出して、翼君のお口に入れてあげた。

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