君とみた未来
ニコニコ産婦人科病院は、真っ白な建物で、建物の周りは桜の木がたくさんあって、今は向日葵の花がたくさん、咲き乱れていた。

建物の中に入ると、最初に歓迎してくれたのは椅子に座った大きい白クマのヌイグルミだった。

中は、清潔感のあるイメージで、とても綺麗にタイルが磨かれていた。

白とピンクを取り入れたコーディネートのソファーやスリッパなどが置かれていた。

小窓には、いろんな形の小さいサボテンがたくさん並んでいて、見ていて楽しい印象をうけた。

そして、診察室に案内された。

「初めまして、若月遥です」

若月先生は、まだ三十代前半で、ここの病院では一番下っ端らしい。

俳優の石田純一さんに、少し似てる先生だった。

「すみません。電話では話せない事なので、わざわざお時間をとらせるようなことになってしまいまして」

そして恭平は学校での出来事、桜ヶ丘南産婦人科病院の診断を全て若月先生に話して聞かせた。

さすがに、若月先生も黙り込んでしまい頭の中がおかしくなっているようだった。

そして、その日は、何もしないで帰り、明日検査するということになった。
 

次の日の夕方、ニコニコ産婦人科病院に着くそうそう、若月先生と恭平は、検査のためどこかへ行ってしまった。

あたしは一人、待合室で恭平をただひたすら待っていた。

約二時間後、恭平が戻って来た。

「おかえり」

「ただいま。寝てるだけだけど、疲れた」

栄養補給させて、と恭平はたっぷり二十五秒かけてキスをしてきた。

それから、三十分後、診察室に通された。

「お疲れ様でした。さて、短時間でいろいろ検査をさせていただきまして、で、結果ですが、桜ヶ丘南産婦人科病院の診断に間違いはないですねぇ。それで、及川さんは、どうされたいんですか?」

若月先生は、恭平に聞いた。

「無事に産むことは、出来るんですか?」


恭平!


また、そんな言い方して!


また試してるの?


「無事に産めるか?と言われたら正直なところハイとは言えないです。何の前例もない状態ですから対処の方法も手探りになっていくでしょうし、これから、なんらかの障害が出てくる可能性だって考えられますからね」

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