君とみた未来

冷や汗を掻きながら祐子の話しを聞いていたら。

「ねぇ、ねぇ。すっごい情報仕入れたの」

そこに、まるで天の助けのように美加ちゃんが教室に駆け込んで来た。

祐子が美加ちゃんに、飲みかけのジュースを手渡した。

美加ちゃんは、ジュースをゴクゴクッと飲むと。

「及川先生が結婚するかも」

と小声で祐子とあたしに話した。

あたしと祐子は顔を見合わせ、その後祐子はあたしを睨んだ。

「ち、ちょっと待って。あたし、知らないよ！」

あたしは祐子に弁解をした。

「ミィカ。どうやってその情報を仕入れたのかなぁ？」

祐子は、美加ちゃんを自分が座っていた椅子に座らせると、猫なで声で聞いた。

「日誌置きに行った時、先生たちがコソコソ話してたのが聞こえただけ」

「で？及川先生の、結婚相手って？」

祐子は、身を乗り出して聞いていた。

「祐子、はしたないよ」

あたしは、祐子にさりげなく、そのおばさん根性をやめろと言ってみる。

でも内心はドキドキしていた。

「なに言ってんのよ。あんた張本人でしょ。もし、相手が違う女だったらどうすんのよ」

祐子は、あたしにピシャリと言い返した。

あたってるだけに、反論できない。

「張本人って？」

美加ちゃんが問いかけてきたけど、祐子はワイドショーのリポーターのようにしつこかった。

「そんなことはどうでもいいっ。相手は？相手は誰なのよっ」

「祐子ちゃん怖い。相手は、聞こえなかった、分かんない」

美加ちゃんの、弱々しく発せられた回答に、祐子は目が点になっていた。

そして、五秒の間があって、祐子は美加ちゃんの首を絞めながら吠えていた。

「相手が分かんないんじゃしょーがないでしょ！そんなのは、スクープでも何でもないわよ！もぅ一回、ちゃんと調べてきなさい！ちゃんと、証拠をつかむのよ！」

美加ちゃんは祐子に首を捕まれグリングリン回されケホケホむせていた。

「祐子。美加ちゃん死んじゃうよ。祐子ったら」

祐子は、あたしの言葉を聞いて、ようやく美加ちゃんの首から手を離した。