君とみた未来
「でも、結婚の話はホントだもん。先生達話してたもん」

美加ちゃんは、本当に苦しかったみたいで、瞳に涙を浮かべながら話した。

「あたしが行って来る」

あたしは、カバンをつかむと教室を出た。

教室を出て何秒後かに、美加ちゃんの悲鳴とも歓喜とも言えない声が聞こえた。

きっと祐子が、あたしと恭平の関係を話したに違いない。

職員室に入ると、安西先生が荷物を持って出て行く所だった。

「安西先生。及川先生みなかった?」

「あら、服部さん久しぶりね。及川先生なら校長先生とお話しなさっていたみたいだけど、急ぎの用事?」

「いえ、べつに……急ぎじゃないけど」

「そう、じゃ、もぅ下校時間過ぎているから帰るのよ……」

「はい」

安西先生は、保健室の方へ歩いて行った。


恭平は何の話をしてるんだろ……。


あたしは校長室の前でちょっと立ち止まり、中の話し声が聞こえないか、ドアに耳を押し付けて神経を集中させた。

でも、誰もいないくらい中の話し声は一切外のあたしには聞こえてこなかった。

あたしの、心のモヤモヤがまた広がっていった。

あたしは、ゆっくり玄関に向かった。


……恭平、ホントに結婚するの?


相手は、誰なの?


あたしじゃ、ないの……?


なんで?


相談していこうって、決めたじゃん。


あたしは、恭平に何が出来るの?


最近、悪阻で辛いみたいなのに……。


恭平は、あたしの手助けなんて必要ないの?


もしかして、今の生活が嫌になったの?


だから、違う人と新しい生活始めようとしてるの?


だから突然、今日学校側に、辞める事言ってくるなんて、言い出したの?


あたしは、もう必要とされてないの?


あたし、誰に相談すればいいの……。


友達にも、親にも話せなくて、こんな、大事なことなのに……。


……若月先生の所に行ってみようかな。


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