君とみた未来
―ニコニコ産婦人科病院―

ここの病院へ来るのは、今回を入れて五回目だった。

恭平は、出来るだけ検診日にはあたしと一緒に病院へ来るようにしていた。


あたりまえだよね。


一人で来るのは、恥ずかしいよね。


若月先生は、いつものように白衣をまとって椅子に座っていた。

「元気がありませんね。どうかしたんですか?」

ちょうど、患者さんが引けて、若月先生はあたしと会ってくれた。

「どうしたんですか?いつもの樹理ちゃんらしくありませんよ」

若月先生が、あたしの異変に気づく。

「あの、若月先生?」

「悩み事ですか?時間はありますから、聞きますよ」

若月先生は、優しく語り掛けてくれた。

「あの、男の人と女の人が、結婚しますよね」

若月先生は、あたしの唐突の話しに、ちゃんと向き合い、あたしの目を見て話しを聞いてくれた。

「結婚したら、赤ちゃんが出来たりするわけですよね。でも、それって、本当なら女の人の、あたしの役目ですよね。あたしがおっきいお腹を抱えて産婦人科に来るんですよね」

あたしは、真剣な眼差しで若月先生を見た。

あたしの声は少し震えていた。

「まぁ、本来なら、そうですね。でも、あなたの所は違う」

「……どうして?どうしてこんなことになっちゃったの?なんで恭平なの?なんであたしじゃないの?あたしには、赤ちゃんを授かる価値もない女だって事?だから恭平は、あたしに黙って誰かと結婚するつもりでいるの?」

若月先生も突然のあたしの動揺ぶりに少し驚いたようだった。

「どうしたの?いったい何があったの?全部聞いてあげるから、ゆっくり一つずつ話してごらん」

とあたしを静止ながら言った。

あたしは、感情が高ぶりすぎて涙がポロポロこぼれるのを感じながら、モヤモヤを取り除こうと若月先生に話し始めた。

「……恭平が、今日学校に言うって……学校に辞めること言ってくるって、もぅ少し後のことだと思ってたから、あたし驚いちゃって……でも、それは納得したよ。だって、学校で何があってもあたしは恭平を助けてあげることは出来ないんだもん。そぅ思ったから納得したんだよ。そしたら、今日学校で友達が、恭平が結婚するっていう話しを聞いた。って言うから……」

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