君とみた未来
「せいなちゃ~ん。お客さんが待ってるよぉ」

「はぁい、すぐいきまぁす☆」

ピンクのキャミワンピースに白のファーがついた洋服を身にまとって、あたしは、お客さんが待っている席へ足を向けた。

『せいなちゃん』と言う名前は、ここでバイトしてる時のあたしの名前。

祐子のお兄さんが経営してるお店に、あたしもバイトで雇ってもらって
今日で五日目だった。


もちろん恭平には内緒。

普通のバイトよりは、お金になるよって、祐子に言われたから始めたんだけど、キャバクラだったとは、祐子のお兄さんはウェートレスの高度な感じって言ってたけど。


給料がいいわけだ。


「せいなちゃん、待ってたよ。昨日君を見て、今日は勇気をだして、話すつもりで来たんだ」

「そぉなの?じゃあ、たくさんお話しして?」

「せいなちゃん、お酒飲む?」

「え?お酒?せいなは飲めないよ」


あ、祐子のお兄さんが呼んでる。


「ごめんねぇ。ちょっと呼ばれちゃったから行ってくるねぇ」

あたしは、そそくさと祐子のお兄さんの所まで戻って来た。

「ごめん。あの客、学校の先生らしい、バレたらさすがにうちもマズイから、違う子ヘルプ行かせるから、みのりと一緒に違う席ついて」


学校の先生?


アブナイアブナイ。


うちの学校の先生じゃなくてよかった。


「みのりさんよろしくお願いしまぁす」

みのりさんは人気ナンバーワンではないけど、明るくて、みんなに気に入られてる人だ。

さらに、飲ませ上手で、この前は、ボトル十本以上空けさせて帰らせたって言ってた。


一人じゃないだろうけど、飲んだ客も相当な人だね。


「飲めないって言っても飲ませるのよ。吐くまで飲ませなさい」

「はぁ……」


吐くまでって……。


みのりさんは、お客さんの所まで歩いて行くと。

「おまたせぇ。いつも来てくれてありがとぉ。今日は、新人さんも連れてきたわよ。せいなちゃんって言うの」

猫なで声で挨拶をし、あたしを紹介してくれた。


 ふぅん、常連さんかぁ。


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