君とみた未来
こんな時ばっかり、頼ろうとして、母さんの言うこと聞きもしないで……。


大粒の涙が、地面に落ちていった。

「うぅっ。うっく。う……」

押し殺してなく涙は、余計に悲しみをまし、あたしは知らないうちに、声を出して泣いていた。

「うるさい猫だねぇ。シッシッ。ここには何にもないよ」

玄関から、母さんの声が聞こえた。

「ごめ……。母さん……ごめんなさ……い」

あたしは、そのまま立ち尽くしていた。

何分経ったんだろう。

母さんが玄関の鍵を開けてくれる気配は全くなかった。

寒いと感じて、周りを見回すと、雪が降り始めていた。

地面に消えていく雪を見つめながら、頼る人はいなくなったことを認識していた。


サヨナラ……。


あたしは、玄関を離れてとりあえず、雪を避けて寝れる場所を探しに行った。

「やっぱり公園かな。こんな寒い中寝て、死ぬ、なんてことないよね……」

あたしは、公園のある場所へ向かった。

公園は、家と恭平のアパートのちょうど中間地点で、よく恭平と待ち合わせをしていた。

街灯が三つしかない公園は、真っ暗で針葉樹の葉が雪に触れてカサカサと音をたてていた。

ブランコに座ると、何で自分がここにいるのかが分からなくなってきそうだった。

「これから、どうしよっか……」

ため息と一緒に、言葉がもれる。

「樹理っ。そこにいるの?」

ビクッッ。


ダレ?


突然声をかけられて、あたしは、恐怖心が走った。

でも、その声は、母さんの声だった。

「樹理?」

母さんは、また、声をかけてきた。

あたしは、ブランコから離れると、母さんに声をかけた。

「母さん?」

暗闇の中で、まともに顔は見えないけど、声だけは、聞き間違えるはずがなかった。

「母さんっ!」

あたしは、人影が見えた時点で、走って行った。

あたしは、その人に抱きつくと、相手の人は、あたしを強く抱きしめ返してくれた。

それは、紛れもなく、あたしの、母さんだった。

「ごめんね。ごめんね」

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