君とみた未来
うーん。


だって、あぁいうの作ったりすると、時間がかかるし、味付け濃くなったりするんだもん。

「自分が出来る料理からしてごらん。何も、本のとおりに作らなくたっていいんだから、自分の食べられる味付けに変えてごらん。材料がなかったら、違うので工夫してごらん、それが出来れば、料理なんて誰にでも出来るよ」


そっか……。


考えようなんだ。


母さん、サンキュ。


あたしは、母さんがパートに出ている時間を見計らって、恭平の家へ行っていた。

タイミングがいいのか悪いのか、恭平は、いつも家にはいなかった。


どこに行ってんだろ……。


昨日だって、クリスマスだったのにいなかったし……。


お祝いしようと思ってたのに。


誤ろうと思ってたのに……。


いつも通りに料理を作り終わって、しばらくボーっと座っていた。


七ヶ月の体で、よくこんな時間まで外に出掛けるなぁ。バイトは、二時くらいまでのはずなのに。


もう、七時半回ってるよ。


何やってんだろ。


今まで作ったご飯、ちゃんと食べてたみたいだし、もぅ、そんなに怒ってないよね。


まさか、食べないで捨ててるなんてことないよね。


記憶の中では、ゴミ箱の中には、入ってなかったな。


よしっ、大丈夫。


母さんには、悪いけど、恭平のことを見捨てるわけにはいかないもん、こんな事をやってるなんてバレたら、今度こそ許してくれないかも。


事故……なんてことないよね。


いっつも、こんなに、遅いのかな。


待ってる時って、悪い事ばっかり考えちゃうんだよね。


早く帰って来てよぉ。


トゥルルルルル。

トゥルルルルル。

突然電話のベルが鳴った。

ビクッ。

「な、な、やめてよぉ。心臓に悪い……」

あたしは、電話には出なかった。

昔、恭平に言われたからだ。

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