君とみた未来
このままの生活を続けるわけにもいかないのは分かっていたし、だからといって、自分自身どうすればいいのか分からないでいた。

母さんの運転で《ティー》に来た。

《ティー》は丸太小屋で建てられ、店内は外国の田舎をイメージした感じで、テーブルや椅子も全て木で作られていた。照明も少し暗めで、落ち着いた雰囲気のお店だった。

《ティー》に着くと、若月先生はもう来ていて、紅茶を飲んでいた。

あたしと母さんは、若月先生の所へ行った。

「早いですね」

話しながら腰かけた。

隣に母さんが腰を下ろす。

「お久しぶりです」

母さんは、若月先生に挨拶をした。

若月先生も母さんに挨拶をかわした。

そのまま、話しを続けようとしたら、ウェートレスさんが来て、オーダーを取りに来た。

「いらっしゃいませ、ご注文を承ります」

「あたし、ミントティー。母さんは?」

「母さん、コーヒーでいいよ」

ウェートレスの女の子がキョトンとしている。

「母さんっ、このお店ね、紅茶しか扱ってないの」

あら、そうなのかい?と母さんは、メニューをひろげはじめた。

「じゃ、ベンガルタイガー」

二十秒待って、母さんが決めた。

「かしこまりました」

と言って、ウェートレスの人は、下がって行った。


たぶん、裏で笑い者になってる。


「で、どうしたんだい?」

若月先生が、話しを切り出した。


言いにくいよぉ。


「あの、あのですね。……平の……事なんです……けど……」

「なに?ぜんぜん聞こえないよ」

隣で母さんがチャチャを入れる。

「ちょっと母さん、話に入ってこないでよ。あたし、若月先生に用事があるんだから」

フン、と鼻息を飛ばして母さんは、紅茶はまだ来ないのかねぇ。と、ブツブツ文句を言った。

「樹理ちゃん、そんなこと言っちゃダメだよ。せっかくお母さんだって来ていただいているのに」


そうだけど……。


「……ごめんなさい」

あたしは、素直に謝った。

「おや、いつもこんなに素直だったら、いい娘なのにねぇ」

カチン。

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